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月灯の一次創作小説置き場です
※この記事は常にTOPにくるようにしております。2016/11/25UP

初めましての方もそうでない方も。月灯(つきあかり)と申します。二次創作も同じ名前で活動しております。
一次創作だけの場所が欲しいと思い、ブログを開設しました。興味のある方は覗いていってください。
作品内にはBLもNLも百合もあると思います。一応明記していきますが苦手は方はご注意ください。
なお18禁な内容のものはこちらにUP予定はありません。プライベッターにてリスインの方のみ閲覧可能となっています。
興味のある18歳以上(高校生不可)の方はtwitterにてメッセージかリプをお願いします(twitterアカウント@tukiyama_t)


作品紹介

◇DK LIFE!シリーズ◇ B L
男子校もの。ツイッターのフォロワーさんと遊んでました。私の役は現国の先生、月山灯(つきやまあかし)28歳です。
それぞれのCPは別軸、パラレルワールドです。せんせい一途なんだから!ほんとだよ?
 ◆月夜木編
  月山先生×夜木くん(3年)
  家庭の事情で一人暮らしをする淋しがりやな夜木くんに迫る先生。
  (一部と18禁も加えて同人誌になりました)
 ◆月ヒナ編
  月山先生×日生くん(3年)
  父子家庭の日生くんはホスクラでバイトをしていて……月山先生にみつかりました。
  (一部と18禁も加えて日生くん役のフォロワーさんが同人誌を作ってくれました)
 ◆月柚編
  月山先生×柚琉くん(2年)
  大家族の長男はしっかり者の赤面症。料理の上手な男の子。
 ◆番外ザキツキザキ編
  月山先生とザキィさん(35)
  ザキィさんは全く別の作品キャラだったのですが作者さんと仲良くなってホモしてますwザキ月も月ザキもあるのですがリバではないです。別軸のお話しだと思っていただければ。
  ザキィさんは金髪の長髪なドSです(が、月ザキになるとドS行方不明)ファンタジーキャラで気ままな薬師です。
 
 ◆その他
  CP要素がなかったり作品数の少ないもの

◇蜂蜜少年(仮)◇
 2017/4/1のイベントに向けて作成中。少しづつこちらにも載せていきたいです。

◇その他◇
 読み切り的なもの
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テーマ:ひとりごと - ジャンル:小説・文学

日生くんの産みの親であるひなたんはぴばSSです。
遅くなってほんんんんんっとーーーーに!申し訳なく……!今年中に間に合ってよかった……
月山先生の幼馴染、陽人のことをもう少し知りたいと言ってもらえたので陽人と日生くんのお話しですヾ(*´∀`*)ノ


ツキヒナ-ナイショのハナシ

 日生は今日もバイトに来ていた。よくないとは解っていても家にじっとしているよりはるかにマシなのだから仕方がない。つい先日、想い人である教師にばれて怒られて。まあその後にもうんぬんかんぬんあったのだが省略することにする。幸い今日はヘルプに向かって欲しいと言われ、いつものホストクラブではなくバーに向かっていた。
「えーと、ここじゃな……スイマセーン。ヘルプの日生ですー……」
 【BAR春酒】と書かれた看板を確認して裏口へとまわる。鍵のかかっていない扉はすんなりと開いた。
「お、入ってくれー」
 中から聞こえた声に従って奥へと進む。狭い裏口からすぐに見えたドアを開ければカウンターの中に通じていた。バーにしては明るい照明の中に足を踏み入れる。開店前だから当たり前なのだが明るいバーと言うのはそれだけで異世界だ。
「店主の陽人だ……ハルって呼んでくれな」
 そこにはマスターと思わしき人物が立っていた。明るい茶色をした少し長めの髪を後ろで一つに括って前髪は中央より左側を整髪料で固めてあげていた。少し細めの目で日生を見詰めてくる。
「日生くんな。今日だけよろしく……って言いたいところなんだがなぁ……」
 陽人の顔が僅かに歪む。
「結婚式の三次会で予約入ってたからヘルプ頼んだんだけどよ……」
 それは日生も聞いている。飲み屋と言うのは割と横の繋がりがあり互いにヘルプを申し込むことも珍しくはない。
「急にな、ドタキャンくらったわ」
「へ?」
 陽人の説明によれば結婚式は恙なく終わったものの二次会で一悶着あったらしい。
「新郎の元カノだかなんかがどーのこーのと言ってたけどどうやら三次会は無理らしい」
 おどけたように肩を竦めた陽人は事情を説明した。
「はぁ……そいじゃあワシは……」
 ホストクラブに戻るべきかと日生は考えたが前金でヘルプ料金は渡してあるとのこと。そのままヘルプってことでよろしくと話はついた。
 まずは開店前の掃除。これはどの店も変わらない。カウンターの中を陽人が。客席を日生が担当した。開店三十分前にはほぼ全ての支度が終わる。カウンターの一番端に座って休んでてくれと言われ日生は素直に従った。
「日生くんさ……もしかしなくても未成年だよな?幾つ?」
 煙草に火を灯しながら陽人が問う。マズいかのぅと思いながらもごまかして後からややこしくなる方が拙い。日生は大人しく十八、高三ですと答えた。
「高校生かよ……あー…この店のこと知ってるか?聞かされてる?」
 自分はただ団体が入ってるから手伝いに行けと言われただけだ。まして客として来たことがあるわけもなければ友人との話題にあがるはずもない。
「あのやろ……あとでクレームだな。あーっとな、ぶっちゃけ俺ゲイなんだわ」
「は」
 うん、聞いとらん。ワシはなーーーーんにも聞いとらん。
 確認するように陽人の言葉を脳内で反芻してみた。間違いなく初耳だ。
「だから店にもその手の奴ら来るけど……平気か?ダメそうなら帰ってもいいぞ」
 目線も合わせず陽人は告げる。吐き出された煙草の煙が儚げに揺れて消えた。日生は迷う。実はホストクラブのホストにも何人かいる……とは聞いている。そもそも日生はゲイの自覚はなかったけれど結果として男性と関係を持っているため嫌悪は無かった。
「どうしてもダメなヤツもいるからな……互いに不愉快な思いをするなら近づかない方が平和でいいさ」
 ギュッと灰皿に押し付けられた煙草の小さな火が消えた。
「大丈夫です」
 意外だという顔を見せた陽人はもう一つの懸念を投げかける。
「なら頼むとするか……ところで高校生って言ったよな?どこ高?」
 これにも日生はごまかすことなく答える。陽人が溜息をついた。
「よりによって……まぁいいか。この週末は実家のはずだし」
 その台詞にデジャヴを覚える。
『週末は法事で実家なんだ。妖しいバイトはするなよ?』
 日生に釘を刺していった仮初の恋人。刺された釘を無視してしまったが今更だ。
「ひょっとして月センセの……月山先生の知り合いですか?」
「ひょっとしなくてもな。中学ん時からのツレだよ……ここも常連だしな。ここには他の教員とか連れてきたことないから大丈夫だと思うぞ」
 世間は狭い。幼馴染というやつか。日生は急に、目の前の人物に興味が湧いてきたのを感じた。
「……なんか聞きたそうだな。店閉めたらな」
 ニヤリと笑った陽人は照明を落とした。バーの中は薄暗いのが一般的なのだ。
「酒進められても断っていいからな。常連はともかくたまに変なのもくることがあるから、なんかあったら言えよ」
 ツレの大事な教え子に無体はできないからなと嘯いて陽人は看板のライトを灯した。


「お疲れさん」
 営業終了の時間は深夜二時。ホストクラブで働くよりも断然早い。
「あー、やっぱ人いると楽だなぁ」
 陽人は最後のグラスをしまう。そして大き目のロックグラスに氷とミネラルウォーター。ミントシロップを少し垂らしたそれを二つ作るとカウンターに置いた。
「ほら。目覚ましがてら飲んでけ」
 素直にカウンターに座って日生はそれを飲む。爽やかな風味が疲れを少し拭ってくれた気分になる。二つ離れた席に灰皿を置いて、陽人も座った。
「で、日生くんは先生の何が聞きたい?言っとくけどアイツはゲイじゃない。彼女いたことあるしな」
 陽人が先に釘を刺してきた。大事なツレが仕事場でゲイだと噂されないよう配慮したのだろう。しかし日生にとって重要なことはそこではなかった。
 やっぱり、彼女おったんじゃなぁ……聞いてはいたけど………
 改めて当時を知る第三者から聞かされてチクリと胸が痛む。それと同時に疑問も湧き上がってきた。
 そんなら、なんでワシに構ってくれるんじゃろ……いくらワシから迫ったとはいえ……やっぱり優しいから…同情、かのう。
 どうしてもマイナス思考に囚われてしまう。そんなタイプではないとも思うのに、自分が愛されているかと聞かれれば首を横に振ってしまうのだ。
 何も言わない日生に対し、陽人の方から水を向ける。
「アイツ学校でどうよ。アイツが先生とか不思議な気分なんだよな、ツレとしては」
 少し遠い目をしながら陽人は煙草に火をつける。煙が日生にかからないように離れて座ったことに気付いた。
「ええ先生ですよ……人気もあります」
「それ、友達扱いとかじゃね?高校生といても違和感ないいもんなー」
 確かに月山は童顔だ。それに加えて雰囲気が若いというか……よく言えばいいとこのお坊ちゃんっぽく、悪く言えば苦労知らずに見えなくはない。陽人の言葉に苦笑してごまかす。
「ハルさんは教師にならなかったんですね。先生が中学から大学まで一緒だったって言っとりました」
「そんな話もしてんの?アイツと仲いいんだなぁ」
 仲はいい……のだろうか。どうしても一歩を踏み出せない日生は困惑する。単純に話をする、とかの頻度ならまぁ高いと言えるだろう。学校のみならず、電話だったりLINEだったり、互いの家であったり。
「ハルさんから見たセンセはどんな人ですか」
 生徒、または想う立場から見る月山と同年代の友人からでは違った見方があるだろうと日生は訊いてみることにする。特になにを期待したでもないが陽人の目がスッと細められる仕草を見てしまった。一瞬の険しさのような、ここにいない月山のことを睨むような目。
「アイツかー……アイツはな、怖いぞ」
「こわ……い?」
 思いもかけない言葉に目を丸くする。月山のことを一度だって怖いと思ったことなんてなかったから。
「ああ。優しいだろ、アイツ」
 それには日生も同意して頷く。面倒見も良いし融通も効く。生徒の話をきちんと聞いてくれる教師だ。
「優しいヤツってのは怒らせると怖いってのが相場だけどさ……怒鳴ったりとか暴力じゃないんだよな。見限ったらすっぱり切り捨てるんだよ」
「え……」
「信じられないだろ?なんつーか情に深いからとことん相手してくれるんだけど一線を超えたらダメだな。元カノが浮気したあと謝ってやり直したいって言ったことがあったんだよ。あんなに好き好きビーム出しまくって大事にしてたのに。その時だってまだ未練もあったのに無理だって跳ね除けてた。普通に話しかけられればそれなりに話すこともするけどやり直しは絶対無理って言っててなぁ」
 それは浮気した元カノさんが悪いんじゃろ?と思う。誰だって怒るだろうしやり直しがきかないこともあるだろう。
「それだけならよくある話だよ。でもさ、目の前で、元カノをあんなに大事にしていたのにって思うと怖いんだよな……アイツに愛想つかされたら友人ですらいられないんじゃないかってな」
 別に裏切ったりするつもりもないけどと陽人は笑った。それが酷く淋しそうに見えて。
「陽人さんは、センセのこと……」
「それはトップシークレットだ。日生くんの気持ちと共に、な」
 ニヤリと笑う陽人に確信を持つ。月山に対する、同じ気持ちを抱いている事を。
「センセには言わんのですか……?」
「言ってもいいけど言わなくてもいいと思ってるよ。君らのような青臭い時期はとっくに過ぎたのさ」
 こんな風に笑えるように、自分はなれるのだろうか。想像もつかない。月山は決して自分のものじゃないと思っているのに誰かのものになるだなんて考えられない、考えたくない。それが日生の想いだった。
「だから日生くんとアイツがくっついたら、それはそれでオメデトウって言ってやれるよ」
 含みを持たせた声。陽人はどこまで二人のことを知っているのか。
「あとな、同じ気持ちを持つ同士のよしみで助言してやるよ。アイツ、頼られたりワガママ言われるの大好きだから甘えてみるといい」
 それは日生がなかなか出来ないこと。月山が相手じゃなくとも我儘をいうことを良しとしないようになってしまっている。
「……そんで愛想尽かされたら嫌ですけぇ……ワシは……」
 言えないし言わない。好かれなくとも嫌われたくない。それくらいの、自分の心の中でだけの我儘は許して欲しい。
「ふーん……アイツも前途多難だなぁ」
 その言葉の意味を理解できなくて日生は首を傾げるばかりだった。
「帰りはどうすんだ?ホスクラなら始発あるからいいだろうけど終電も終わってるし……タクシー呼ぶか?」
 この話はここまでと打ち切るように話題を変えられる。日生もこれ以上自分の気持ちを暴かれたくなくてそれに乗った。
「チャリで来てますけぇ」
「そっか。気を付けて帰りな……あ、ここで働いたことはアイツに秘密……でいいんだよな?」
 それはもう。バレれば怒られるのは眼に見えている。ぜひお願いしますと告げて店をあとにした。
 外へ出れば真っ暗な空が広がる。表通りから少しの喧騒。まるで世界から切り取られたような気持ちで駅へと歩き出した。
「ワシは……ハルさんみたいに」
 なりたいのか、なれるのか、なりたくないのか。どれも当たっていてどれも外れているような気持ちを持て余しながら日生はかろうじて燈っている駅の明かりを目指した。

おしまい。
夜木くんの中の人の誕生日に合わせ……られなかったorz
前から話してた夜木くん酔っ払いネタ。できてる二人です。全年齢。

-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

 月山は頭を抱えたいと思ったが両手は塞がっていた。
「あかし!聞いとう?」
「……はい」
 己の膝の上に跨る恋人のせいである。
「あかしー……すきー…」
 ごろにゃんとでも聞こえてきそうな甘い声を発した主が頭を摺り寄せてくる。夜木の腰に廻した手をずらそうとすれば怒られた。
「離さんで!」
 一転して声を荒げる恋人に、いったいどうしたらいいものか。まるで見当もつかず言いなりになっていた。


 事の起こりは単純だった。夜木は酔っている。アルコールの匂いも好きではなく、月山が呑んだ後はキスも嫌がる。そのうえ未成年の夜木がなぜ酔っているのか。
 晴れて二人は恋人になった。夜木は卒業式を終えて引っ越しの準備をしている。ちょうど休みとなった月山が手伝いに来てくれていた。かと言って荷物もさほど多くない夜木の荷造りなんてすぐに終わる。それを口実にいちゃつきに来たのが月山の本音だ。長い時間をかけて口説き落とした相手と恋人になれて浮かれていた。今夜は月山が一足先に引っ越した、二人の新居で過ごそうと決めて外食をして。家に戻れば汗を流すということで月山がシャワーを浴びている時にそれは起こった。
「せんせー、せんせー」
 ドアの向こうから聞こえる呼びかけに返事をする。
「ジュースもらってよか?」
「あー。好きなの飲んでいいぞー」
 もうすぐあがるからと告げて最後にシャワーで全身を流す。脱衣所に出れば春になったばかりの空気がひんやりとして心地よかった。
「おまたせー……って、夜木?」
 机に突っ伏した恋人を見て寝てしまったのかと声をかける。
「……おそいー」
 膨れっ面の夜木が少し赤い頬を見せて睨んできた。
「あ、ごめん?」
「ここ!ここに座りんしゃい!」
 いつもならそんなことは言わない。そんなに長時間と言えるほどの時間シャワーを浴びていたわけではない。珍しい抗議の声に疑問を感じながら促されるまま隣に座った。
「夜木、どうした?」
 月山の疑問に答えもせず、腕をまわして膝の上によじ登った夜木はぺたりと張り付いた。甘えるように縋りついてくるのは嬉しいけれど普段では有り得ない態度に戸惑ってしまう。
「おい?」
「んー……あかしぃー……すきー」
 その一言が月山の心を打ち抜く。なんというカワイイ生き物か。これはもう、愛を告げずにはいられない。
「俺も夜木のこと好きだよー」
「ダメ!」
「え」
 嬉しくて愛しくて、想いを伝えたはずなのに拒絶される。胸ぐらを掴まれて揺さぶられた。
「せんせぇばっか好きとか思わんでよ?オイだってあかしんコトめっちゃ好いとぉとやっけんにゃ!!」
「……う、ん?ごめん??」
 噛みつかれそうな勢いで前のめりに詰め寄られる。そうして冒頭のように困り果てながら膝の上の恋人を抱えたまま身動きを許されない形となった。
 一体どうしたのかと声をかけてもどがんもせんと言われるばかりの時間の中で眼についたものは机に置かれている、夜木が持ってきたはずのジュース……と思い込んでいたアルコール。酒の匂いが嫌だという夜木に嫌悪感を抱かせにくいようイチゴミルクの甘い缶チューハイを選んで冷蔵庫に放り込んでいたのが仇となったようだ。
「解っとう?オイはあかしんこと好いとうよ!?」
 お言葉は非常に嬉しいのだがまるで怒られているようで腰が引けてしまう。いつもなら、怒った時は腹パンかまして膨れっ面なのに今はまるで絡み酒。
「わ、解ってます」
「嘘つき!大人は嘘ばっかやん!!」
 ふ、と部屋着を握っていた手の力が抜けて落ちる。嘘つきと言われた月山は心の奥底にある不安を見抜かれて反応が遅れてしまった。
 本当はまだ不安がある。夜木が自分のことを好きなのは間違いのない事実であるけれど―――でも、それは恋人としてなのか、親愛や友情の延長線にあるものなのか区別がつかない。それは今まで近しい関係を築いてこなかった夜木に、初めて踏み込んだのが自分だから。雛鳥が初めて見た動くものを親だと思い込むように自分に懐いているだけなのではないかと考えている。
 離れていく温度を抱きとめる前に逃げられてしまった。立ち上がった夜木はふらりとベランダの方へと向かい、大きなガラスの引き戸を開け放つ。
「よ」
「オイは!」 
 呼びかけを遮るように夜木が叫ぶ。
「オイは!あかしんこと好いとっと!いちばん、好きやけんが!!」
 言葉の内容は天に昇るほど嬉しかったが問題として今は夜半過ぎ。ご近所迷惑甚だしいことこの上ない。
「わかった!わかったから!夜木!」
 慌ててその細い腰を掴んで室内に引っ張り込む。酔っていた夜木の足はバランスを失って月山の上に倒れ込んだ。
「……大丈夫か?」
 下敷きになったのは自分の方だというのに月山はことさら優しく、宥めるように語り掛ける。
「ズルい……大人はズルかよ」
 体制を、再び月山の上に跨り倒れ込むように体を寄せながら夜木は呟く。
「……子供だってズルい時あるじゃん」
 思わず口をついて出た反論。
 夜木だってズルい。捕まえようとすれば逃げられて、諦めようとすれば擦り寄って来る。どんなにもがいても捕まえられる気がしない。
「あかしはズルか……オイがこがん胸んとこ焼いとっても笑ってばっかやん……」
 胸が焼けるとはどういうことだろう。焼きもちを焼かれるような行動は身に覚えがない。
「あかしんこと考えとっとぐるぐるしてモヤモヤしてばーんってなっと」
 うん、さっぱり解らない。もしかして嫌われているのかと思う程度には解らない。
 そんな月山の思考を置き去りにぴたりとくっついた夜木は思ったままの言葉を口にする。
「……撫でて」
「……ん」
 よく解らない展開であっても夜木が嘘を吐いたりしないことを知っている。月山はそっと頭を撫でながら囁いた。
「俺、夜木のこと好きだよ」
「…………」
「ズルい大人なのかもしれないけど……好きなのは本心だから」
 それだけは伝えさせて欲しい。疑って欲しくないと自分の上で微睡んでいるかのような夜木を優しく何度も撫でていた。
 どれくらいそうしていたのか。静寂を破ったのは夜木だった。
「……あかし………どこもいかんで」
「いかないって」
 何度も繰り返された会話。何度だって繰り返すと月山は決めている。それで夜木が安心できるなら何度だって。
「いかないよ。傍にいる」
 夜木が捨てなければ。そんな余計な一言を喉に落としたまま。
「ここにいるよ……夜木の傍にいたいんだ」
 許されるならこの先ずっと。死が二人を分かつまで。
 その許しを乞うように夜木の右頬に手を添えた。アルコールのせいで潤んだままの目をじっと見詰める。月山の意図に気付いたのか夜木の意思か。伏せられた瞼へと確認するように唇を落として頬へと辿り、唇を重ねる。
 祈るような二人の想いを閉じ込めるように強く抱き合ったまま互いの胸の内を探るように互いの心音を聞いていた。
 それ以外の音はなにも聞こえないような。そんな静かな夜だった。

おしまい。
うん、まぁね。自分の分身として作ったキャラでもあるので自分で自分の誕生日を祝ってる感がぬぐえないんだけどもwww
でもそう言っていると月せんせーの誕生日ネタって永遠に書けないということに気付いた(;・∀・)
今回は全年齢ですーwww




月山せんせいはぴば2017

 春になると寝坊が増えるのはどういうことなのだろうか。詳しい人体の仕組みなど解りはしないが春は眠い。それだけは解っている。そして寝坊した生徒を諌める立場である教師・月山は自分も盛大に寝坊をするのである。
「あっ…………ぶねー……!ギリギリセーフ!」
 一般の会社とは違う枠組で働いているわけだが遅刻がよくないことは共通だ。車から飛び降り、一目散に職員室へと向かった月山をみかけて笑う生徒が何人か存在していた。


 昼休みになれば寝坊のツケがまわってくる。朝方にやっておくはずだった書類をやっつけようと必死に格闘をはじめた。提出期日的に問題はないがこの仕事を後回しにすれば残業は確定である。無駄な残業はしないに限る。なにせ一般企業と違って残業代も出ないのだから。
 昼休みの終わりを告げる予鈴が鳴った。図書室にいた生徒たちも次々と退席していく。幸い次の時間に割り当てがない月山はそのまま図書室で仕事をこなすことにした。一つの仕事が押せば次の仕事が押してくるものなのだ。目処はついているが気分の乗っているうちに早く終わらせてしまう方がいい。それを遮るように少し高めの声が響いた。
「あ。せんせーここにおらした」
 誘われるような愛しい響きに顔をあげれば夜木がひょこひょこと貸出カウンターの前までやってくる。
「どうした?授業はじまるぞ」
 三年生とは言え四月終盤の今頃は普通に授業がある。予鈴が鳴ったのだから教師として、授業へと送り出さないわけにはいかない。
「せんせー、誕生日おめでと!」
 にぱっと笑った顔に見惚れてかけられた言葉が脳内をすり抜けていった。
「手!手ぇ出しんしゃい」
 言われるまま手を揃えて前に出せば月山が好んで食べているチョコレートが乗せられる。
「これ、俺に?」
 なんで、と言わんばかりの顔を見せた月山に同じ言葉がもう一度かけられる。
「誕生日おめでと!プレゼント!……なんがよかかわからんやったっけ……」
 バイトもしていない高校生の小遣いから贈られたチョコに笑みが浮かぶ。
「あ……そっか。誕生日だったな、俺」
「忘れよっと?」
「昨夜までは覚えてたんだけどなー」
 朝からバタバタとしていたおかげですっかり忘れていた。好いた相手が自分の誕生日を覚えていてくれて、プレゼントまでくれた。正直全く期待していなかったので……湧き上がる衝動が抑えきれなかった。
「夜木、ちょっと」
 手招きをすればカウンターに乗り上げるようにして夜木の顔が近づいてくる。受け取ったチョコレートを横に置くと両手で頬を包んだ。
「……チョコ以外にも欲しいものあるんだけど」
 控えめにオネダリしてみる。
「高いもんは無理やよ?」
 予想通り、控えめでは通じなかったのできちんと言葉にする。
「キスしたい。してもいい?」
「ん」
 素直に閉じられた目を確認して口付ける。柔らかい唇の感触を楽しんだ。そのまま舌を差し込んで、中を蹂躙して、息があがる夜木を押し倒して―――という訳にはいかない。ここは学校で、もうすぐ授業が始まってしまうから。軽く啄ばんだだけのキスを終えるとカウンターに完全に乗り上げていた夜木が悪戯な笑みをみせる。
「満足しよった?」
「……全く全然足りないです。夜、行ってもいい?」
 あの悪戯な笑みはそういうことであるはずだ。確信をもって訊ねたというのに返ってきた答えはノーだった。
「ダメ」
「へ?」
 間抜けな声をもらした月山に抱き付きながら夜木は続きを告げる。
「オイがせんせーのうちに行く」
 二人で会えるのならどちらの家でも構わない。月山の答えはひとつだ。
「うん。来て」
 約束を交わしてもう一度キスをする。
「せんせー、年寄りになりよったけんオイがサービスしちゃるけんね!」
 爆弾発言を残して夜木はさっさと授業に向かってしまった。
「サー……ビス…………って、なんの?」
 それに応える相手はもういない。えっちな方向で期待した自分は悪く無いよなと思いつつ頑張って残業にならないよう、仕事を進めることにした。


 期待していたサービスは普通に健全なマッサージだったのでがっかりしたが、腰の上に跨られて腰を押してもらって、スエット越しに当たる夜木の腿の熱と柔らかさに負けてひっくり返して。
 いつもより少しだけ怒られずに済んだのは誕生日だったからだろうかと考えつつ、隣で眠る夜木の瞼にキスをした。
「ありがとな」
 タイミングよく、ふにゃりと笑った夜木の寝顔が一番のプレゼントだと思いながら月山も目を閉じる。
 夜木の誕生日には何を返そうか考えながら幸せな気持ちとぬくもりに包まれて目を閉じた。

おしまい。
Twitterで知った【手製本交換パーティ】が去年の12月にありまして。
そして次の募集があったので参考になればいいなと今更ながらレポを(;'∀')
RTでまわってきたのを見て、主催者さん素敵なパーティをありがとう!と飛びつきましたともww
私は郵送参加だったので自分の分を送り、パーティの後で皆様の本が送られてくるのを待っていました。
写真たっぷりで紹介したいと思います。
なにせ全15冊ですからね!力作&創意工夫のつまったコピー本が15冊!ひゃっほーい!ヾ(*´∀`*)ノ
中にはおまけミニ本(折本等)もつけてくださった方もいらして結果的に15冊以上でしたwww
特に琴線に触れたものはピックアップして「ここが!よかったです!」と単体写真つけてます。

まずはこちら
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黒い用紙(多分レザック)に赤いリボンが素敵(´∀`*)
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中もレースみたいになってておしゃれ!
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表紙や裏表紙を開いた見返し。包装紙なのかな?すごく雰囲気あります。
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おつぎ~
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開くとハートが♡
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おつぎつぎ~
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緑色の絵本風なやつです。いわゆる上製本みたいな。市販の絵本みたい!
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トレペの透け感がいきてる!この方の文章も凄かったの……いわゆる縦読みなんだけど頭文字だけでなく終わりの文字も縦書きになってた……すごい
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さらにつぎ~
蛇腹折の本が2冊も!すごい!自分で作れるもんなんだぁ……
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そしてようやく最後!糸で綴じている方も多かった!自分もだけどw(自分のはまた改めて別記事でUP予定)
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いやもうどれもこれも素晴らしくて楽しかった!
ほんと創意工夫あふれるコピー本大好きです!イベント行くとジャケ買いしちゃうくらいwww
次は8月頃にあるそうです。もちろん参加予定!
関西方面で会場借りて交換会するそうです。いいなぁ。
さすがに行けないと思う私は郵送参加です。でも参加できるの嬉しいヾ(*´∀`*)ノ
コピー本好きな方はぜひ参加してみてくださいませー!
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